ORAL SURGERY COLUMN
血をサラサラにする薬を飲んでいる方の抜歯
まずお伝えしたいのは、抜歯のためにご自身の判断で薬を中止しないでください、ということです。中止によって生じる別のリスクのほうが問題になる場合があります。
自己判断で中止しないでください
心筋梗塞、脳梗塞、心房細動、ステント留置後などで処方される抗血栓薬は、血の固まりやすさを抑える薬です。抜歯の出血を心配して自己判断で中止すると、血栓による重大な事態につながるおそれがあります。中止するかどうかは、処方している医科の主治医が判断する事項です。現在は、服用を続けたまま抜歯を行い、局所の止血処置で対応するという考え方が一般的になっています。
事前に伝えていただきたいこと
- お薬手帳(服用中の薬がすべて分かるもの)
- 薬を飲んでいる理由となっている病名
- かかりつけの医科主治医と医療機関名
- 直近の血液検査の結果をお持ちの場合はその資料
- 過去に抜歯や手術で出血が止まりにくかった経験の有無
これらの情報によって、抜歯の進め方、必要な事前確認、主治医への照会が必要かどうかが変わります。
当日行う止血の工夫
抜歯後は、傷口を縫合する、止血材を使用する、ガーゼをしっかり噛んでいただくなど、局所で止血する処置を組み合わせます。止血の確認に時間をとる必要があるため、診療時間の後半ではなく余裕のある時間帯にご予約をお願いすることがあります。
術後に守っていただきたいこと
- 強くうがいをしない(固まりかけた血の塊が取れてしまいます)
- 傷口を舌や指で触らない、吸わない
- 当日の飲酒、長い入浴、激しい運動は避ける
- 処方された薬は指示どおりに服用する
じわじわとにじむ程度の出血は当日中に見られることがあります。清潔なガーゼを丸めて20分ほど噛み続けても止まらない場合、あるいは血の塊が繰り返し出てくる場合は、ご連絡のうえ受診してください。
院内で対応できない場合
全身状態の管理が必要な場合、複数の疾患をお持ちで慎重な対応が求められる場合、入院下での処置が望ましい場合は、対応可能な医療機関へ紹介します。無理に院内で進めることはしません。診査と画像検査、全身状態の確認を行ったうえで、どこで受けていただくのが安全かを判断します。
歯科医師監修・内容確認日:2026-08-20 監修:院長 山田 聡(歯学博士)